


我が国の死亡原因の大部分を生活習慣病が占めていますから、治療院に通う患者さんにも、その危険が忍び寄ってきます。したがって痛み治療だけが鍼灸師の仕事ではありません。
「元気で長生きをしたい」と訴える高齢者から、「自律神経障害かしら」と悩む女性、「このレースに掛ける」と言うスポーツマン、そして泣くばかりで話ができない子供など、それぞれの患者さんが望む姿は、広範多岐にわたります。
そんな悩みを抱えている方々に、安心と安全に包まれるしあわせを味わって欲しいと念じています。すなわち温かい手を差し伸べ、患者さんをしあわせ村へとご案内する、そんな鍼灸師でありたいと思います。



スポーツ分野においてトレーナーという職種は今や欠かす事のできない位置づけになっています。その中で、鍼灸のライセンスは治療のできるトレーナーとして不可欠なものとなっています。
以前、本学に講演で来られた元プロ野球選手がこんなことを言っていました。「今、トレーナーに望む事は、競技の際ストップをかける人は数多くいるが、多少のリスクがあってもGO!と言ってくれるトレーナーは少なく、そんなトレーナーが欲しい」と。
確かに冷静な判断でストップをかける事は大事ですが、選手には、その競技に出られない事による経済的打撃は深刻な問題です。それをGO!と言えるかは、トレーナーとして責任が問われる問題ですが、選手の期待に応えることの出来る、治療家としてのトレーナーを増やしたいと願っています。
「あなたに身体を任せる」と言ってもらえるトレーナー鍼灸師の育成に努めています。



「より美しく、より健康に」と望む時代です。中医学美容はアメリカを中心にブームになっています。そのブームから日本でも鍼灸美容が注目されています。もともと中医鍼灸は顔面部によく施術を行います。顔面麻痺や脳梗塞という病気の治療は勿論のこと、それ以外にも中国の京劇の演者達は、顔及び目の独特なアーチを維持する(皮膚のたるみを防ぐ)ために、鍼灸を利用して美容しています。アメリカの鍼灸美容の著名医師メイクロチンDrと香港のテンシャドウDrは私の大学同期であり、10年前から鍼灸美容に私が考案した「ショウ氏温灸器」を導入してくれています。中医美容は最近研究も進み、中国揚州にある鑑真大学は、メイクロチンDrとテンシャドウDrを呼び、研究室を建設する予定をしています。神戸東洋医療学院を代表し、私も研究プロジェクトに参加します。
また中医美容は、鍼灸施術と同じく、漢方薬についても研究が進んでいます。化粧品の多くに生薬成分が使用されており、今後大きく成長する分野だと思います。



最近、ホット・ヨガ、ウォーキング・エクササイズをはじめ、さまざまなボディ・ワークが健康づくりのために見直されています。ボディ・ワークには体をめぐる気を調和させる働きがあります。
ところでボディ・ワークと鍼灸はとても相性がよいのをご存知ですか。じつは、鍼灸は体の気・血・水のバランスを調整する医術といわれています。病状が軽い場合や軽症のケガの場合など自分で動けるかたは、まず、ボディ・ワークをして、足りない部分のみ鍼灸治療で補ってあげるといいでしょう。鍼灸治療のみの場合よりも体がスムーズに良好な状態に戻ってくれることを実感できます。鍼灸治療がスポーツ選手に好まれるのも選手一人ひとりの体験に基づいています。病気の治療から病気にならないライフスタイルが重要視される時代、鍼灸治療の活躍の場も新たな領域に向かっています。